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2012年度第1回公開セミナー(アフリカ入門)「伝統衣装」をまとってあゆむ「グローバリゼーション」の道すじ~ケニアの牧畜民サンブルの「戦士」とビーズ装飾~」

講演者:

中村香子氏(京都大学アフリカ地域研究資料センター・機関研究員)


日時: 2012年4月24日(火) 18:30~20:30
場所: 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所マルチメディア会議室(304)

おそらく多くの人は、「アフリカの伝統衣装」として、まずビーズ装飾を思い浮かべる。なかでも、全身を色鮮やかなビーズの装身具で飾りたて、赤い布を身にまとう「マサイの戦士」の姿は、「伝統的なアフリカの民族」のイメージとして多くの人の脳裏に浮かぶにちがいない。しかし、この「伝統衣装」に使われているビーズが、実はチェコからの輸入品であることはあまり知られていないし、またそれをまとう現地の人びとが何を考えながらビーズ装飾をまとうのかについて、知ることは困難である。
 今回のアフリカ入門では、講師の中村氏が、マサイ系の牧畜民であるサンブルを事例に、この半世紀のあいだに驚くほど派手になった彼らのビーズ装飾を写真や実物で紹介しながら、彼らがあゆんでいるユニークな「グローバリゼーション」の道すじとその背景に焦点をあててお話しされました。そして、彼らが外部社会と相互に影響を及ぼしあいながら自身を飾りたて生計をたてている現状が、サンブルが苦境に立たされていることを示すものとも言及されました。
 会場には、東京外国語大学の様々な学部の方をはじめ、学外のアフリカ研究者や国際協力の現場で働く方など多くの方が来場し、現地のビーズをめぐる多様な社会関係や、彼らの伝統や現金収入活動に対する考え、女性のおしゃれの実態など質疑応答がさかんに交わされました。