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第1回公開セミナー:アフリカ入門「現代東アフリカ社会における観光業~売り物としての『アフリカ』~」

講演者: 井上真悠子氏(日本アフリカ学会)
日時: 6月21日 18:00~19:30
場所: 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 3階セミナー室(301)

2011年度第1回公開セミナーは、主としてこれからアフリカ研究を志す方たちを対象にアフリカ研究のフロンティアを紹介す る"アフリカ入門"を開催しました。今回はアフリカのお土産物の絵画として有名な「マサイ」や「ティンガティンガ」を研究されてきた井上真悠子氏を講師にお招きして、絵画の生産者・小売業者の日常生活や仕事場での制作過程について映像を交えながら解説していただきました。そして現地における土産物商売の 「戦略」が、いかに「他者」として彼らをとりまく世界と関連して編み出されたか、さらには今後のお土産物業の展開などをお話していただきました。会場では、参加した大学生・大学院生、NGOの方らを交え、井上氏の調査手法やアフリカのお土産業者の可能性などについて、多くの質疑が応答が交わされました。

講演要旨
「アフリカ」と聞いたとき、野生動物や農村生活、貧困、紛争といったキーワードはすぐに浮かぶが、「都市」や「観光」といったイメージは想起しにくいかもしれない。しかしアフリカにも都市は多数存在しており、観光客が多く訪れるおだやかな観光地もある。
東アフリカ・タンザニア随一の観光地であるザンジバルは、1980年代から観光化がはじまり、現在では年間十数万人を越える外国人観光客が訪れる国際リ ゾート地となっている。そして外国人観光客をターゲットにしたみやげ物商人たちも、ケニアやタンザニアの各地から国境や地域を越えて移動してきている。そ の中には東アフリカで有名な「マサイ」の若者たちや、タンザニアの絵として有名な「ティンガティンガ」などの絵描きたちも多い。
本講演では、ザンジバルをはじめとしたアフリカの観光地で働いているみやげ物生産者や小売業者を対象とした現地調査の具体的な映像をまじえて解説した。そして現地のみやげ物業従事者たち自身が、いかにして「アフリカ」というイメージを主体的かつ戦略的に活用し、外国人観光客を対象とした商売をおこなっているのかを明らかにしたうえで、今後のアフリカの土産物業がより広域化する可能性について示唆した。