トップ  > 活動内容 2011年度 > 活動内容詳細

第5回公開セミナー:アフリカ入門「「アフリカで護られる野生動物保全の今―ゾウと同じ大地で暮らす人びと」 

講演者:

目黒紀夫(日本学術振興会特別研究員PD/東京大学大学院)


日時: 2011年11月8日(火曜日) 18:00~20:00
場所: 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 3階マルチメディア会議室(304)

今回は、ケニアのマサイの人びとの環境利用と野生動物保全との関わりをご研究されている目黒氏をお招きし、最新の情報を交えてご講演いただきまました。
講演では、マサイの人びとの生活変化について、スライドを交えわかりやすく説明いただきました。また、アフリカでの野生動物保全のあり方が、マサイの人びとの生活からいかなる形であるべきかを、長期間のフィールドワークによる具体的なデータから示唆していただきました。

質疑応答では、マサイの人びとの生活の将来像や、ケニアにおける社会経済的変化との関わり、マサイの人びとの移動史と土地利用の変遷との関わりなどについて活発な質問や議論が交わされました。

IMGP7757.JPG

報告要旨
アフリカの多くの国にとって、ゾウやライオン、ゴリラといった野生動物を利用した観光業は大切な産業である。また、先進国や国際機関、NGOによって、数多くの野生動物を護るための活動・支援がおこなわれてもいる。とはいえ、テレビや映画でアフリカの野生動物が取り上げられるとき、野生動物と同じ土地の上で暮らしている人びとの姿が映されることは意外と少ない。
 今回の公開セミナーでは、アフリカのなかでも「野生の楽園」として有名な東アフリカの国ケニアから、アフリカゾウの群れとキリマンジャロ山の眺めで有名なアンボセリ生態系をとりあげた。アンボセリは過去数百年にわたって牧畜民マサイの縄張りとなってきた土地であり、マサイは野生動物と共存してきた人びとといわれたりもする。その一方で、19世紀以降、アンボセリは白人に大人気の狩猟場・観光地となり、国際的に野生動物保全が取り組まれてきた場所でもある。本報告では、同地での野生動物保全が、ゾウと同じ大地の上で暮らすマサイの生活にどのような影響を与えてきたかを紹介した。また最後に、今後の野生動物保全を検討する上で克服する課題を提示した。